オムロン リレーアンドデバイス株式会社
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環境・安全対策や顧客ニーズの高度化など、設計難易度がますます増大する中、ナレッジやノウハウの価値がさらに高まっている。しかし、技術者の世代構成の偏りや開発人員のスリム化などにより、これまで個人間で行われてきた技術伝承が機能不全に陥っている企業も多いのではないだろうか。グローバルに事業を展開するリレー専業会社オムロンリレーアンドデバイス株式会社(以下、オムロンリレー)も、このような状況に直面。過去不具合の再発や課題解決に時間がかかり、開発遅延が問題化していた。
西山氏当社では、経営目標に沿って現状の課題を分析し、自律的に解決を図る『開発プロセス革新活動』を、2007年より展開しています。人材力アップやレビュープロセス改善など、部門を横断したチームが複数立ち上がっていますが、その中でもSpaceFinderを活用した『技術情報の蓄積と活用の仕組みづくり』は、開発プロセス革新の基盤インフラとして取り組んでいる重点テーマです。
辻氏これまでの技術伝承は、上司と部下、先輩と後輩という関係の中で行われてきたわけですが、ここに来ていろいろなところで綻びが生じてきました。これからは、ノウハウを共有化して伝えていく、誰でも見られるような状態にするということが大変重要です。もちろんデータベース化には過去から取り組んできましたが、データの入れる場所が散在し、簡単に引き出す手段がありませんでした。そこをしっかりシステムで構築できれば、いままで蓄積してきたノウハウはすべて確実に伝承できると思っています。
西山氏手戻りを無くすためには、過去の経験や知見を生かすことが重要です。近年、顧客ニーズの高度化や小型化、省エネ化への対応などにより、例えば、接点を押す加重や離れた時の距離などのパラメータを非常に狭い幅でピンポイントに設定しなければならなくなっていますし、小さなパッケージに多くの機能を盛り込むために形状的な工夫が更に必要になっています。このように設計を追い込んでいく上で、過去の経験が非常に活きるのです。
福井氏実は、オムロンリレーでは、過去にも何度かDB化が試みられていました。しかし、その際は単なるツール提供にとどまり、プロセスや人の意識を変えていく視点に欠けていたため、長続きしなかったり、個別の情報を扱うのみにとどまっていました。その反省を踏まえ、今回の取り組みでは、DBを開発プロセスに埋め込み、業務直結型にすることで使う必然性を作り出す必要がありました。
西山氏SpaceFinderの選定理由は、電子帳票機能が優れ、自分達でその設定を行えるということです。単なるフォルダやファイルのツリー構造ではなく、電子帳票インタフェースがあることで、ユーザーの開発プロセスにSpaceFinderを組み込むことが可能になります。さらに、自分達で現場の課題を解決するというスタンスで望んでいますので、仕様ありきで納品してもらうのではなく、自分達で設定や変更が行えるということも必須条件でした。このようなシステムは、SpaceFinder以外にありませんでした。開発元であるダイキン工業が我々と同じ製造業ですので、製造業がかかえる課題を理解した上でSpaceFinderを開発されているであろうという期待感もありました。
大久保氏品質担当者が品質通達を登録して、各工場に確実に通知する『品質通達連絡帳票』も作成しました。対応状況をフォローするためのチェックシート機能もあり、是正処理や対応処置等の報告書を添付して保管できます。以前は、文書ファイルを電子メールで複数の工場や部門に配信していましたが、今では送りっぱなしにならずにお互いにいつでも参照でき、品質管理部門が対応状況を確実にチェックできるようになりました。
西山氏技術情報の蓄積と活用を確実に根付かせるために、技術者全員が朝出社したらまずSpaceFinderを起動するというような、仕事の中心にあるシステムにしたいという目標が導入当初からありました。そこで着手したのが、設計開発の成果物管理を実現する『開発テーマ管理表』です。まず開発内容や開発メンバーが、次に業務名と登録すべきドキュメント名、期限、担当者などが表記されています。ドキュメント保管用の子電子帳票を立ち上げるボタンや参考にすべき電子帳票へのリンクも設定されています。
西山氏『開発テーマ管理表』を運用することで、成果物単位で進捗や状況を把握することができ、成果物の作成漏れも防止できました。さらに、後で見たときにプロセスに沿って成果物データが貼られているので、一目で探しやすくなっています。また、文書登録帳票を使うことで、帳票名やキーワード、作成者、ドキュメント名等により、開発テーマを横串で検索することも可能にしています。
西山氏開発プロセスで作成された成果物は、改造設計をする人のバックデータになり、生産現場での貴重な情報でもあります。世代間で情報を共有しなければならないとか、DB化を推進しなければならないということは、従来から頭ではわかっていても、多忙な業務に追われてどうしても後回しになっていました。しかし、SpaceFinderでデータ管理の仕組みを開発プロセスの中に埋め込むことができましたし、運用立ち上げの過程で様々な部門の技術者の理解を得ることができました。今では、SpaceFinderを活用することで、手戻りは必ず削減できるという意識の高まりを確かに感じています。
西山氏また、手戻りによる開発のロスを定量的に捕捉するための基盤も構築できました。図面変更の回数を開発テーマや部品毎、担当者毎などで分析が可能ですし、当初計画していなかったジョブ(=手戻りによるジョブ)がどれだけ発生したかを把握することも可能になります。
本社 | 熊本県山鹿市杉1110番地 |
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資本金 | 3億円(2009年4月1日現在) |
従業員 | 国内:736名、海外:6,859名(2009年4月1日現在) |
事業内容 | 熊本県から世界に事業展開しているリレーの専業会社。通信インフラやエレクトロニクス機器、代替エネルギー、安全・環境対応など、大きく変化する社会のニーズをグローバル規模で支えている。 |
取材日:2009年5月28日
受付時間 9:00-17:30(土・日・祝除く)
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