株式会社パイオラックス
以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!
製造業のグローバル化が言われて久しいが、企業活動を支える情報基盤をグローバルに展開しているケースは、まだ少ないのではないだろうか。しかし、営業や開発、製造等の情報が国や拠点によって分断していては、グローバルで戦うことは難しくなる。パイオラックスは、このような課題を先取りし、グローバル情報基盤を構築。SpaceFinderにより構築されたPLMシステムが、世界9ヶ国で活用されている。
田中氏当社では、企画・開発・量産準備等の進捗管理や情報伝達をサポートするシステムをスクラッチで構築し、国内で運用していました。その更新を控えた2010年頃、次期システムの構想を描くべく、当社の目指す姿や現システムの課題について、半年かけて社内インタビューを実施。そこで浮かび上がったキーワードがグローバル化でした。
富樫氏例えば、同じ製品を別のお客様から別の拠点が引合いを受けていたり、既に開発を行っている製品を別の拠点でも開発してしまう可能性があります。また、拠点間で販売価格に差異があるのに気づいていないこともありえますし、海外で受注できなかった案件が日本から支援したことで受注できるようになることも考えられます。
田中氏システムの構想が固まる前に主要15帳票のプロトタイプを数週間という短期間で作成し、海外拠点を回って意見のヒアリングを行いました。これにより、スムーズに次のステップにつなげられ、海外展開をする上でかなり大きな効果がありました。
富樫氏誰がどの決定をするのか、どの部門がどの権限を持つのか、拠点独自の業務フローをどこまで認めるのかといった業務基準も、システム構築と並行して整備。最終的には、BU(ビジネスユニット)への情報集約を必須化すると共に、BU毎に現地判断に委ねる領域を明確化しました。
北浦氏GPLMでは、『全体情報』帳票を起点に、『案件情報』や『設計情報』『生産準備情報』等の帳票が派生。さらに、『設計情報』には材料指示等の帳票が紐付き、『案件情報』には客先イベント情報、見積り条件等の帳票が紐付くというように、電子帳票が相互連係して業務をサポートします。『全体情報』を起票する前に帳票検索を実行し、既存製品がヒットした場合は『案件情報』を追加起票します。また、金型手配の前には、既存の金型を検索。これにより重複作業の防止を図っています。
北浦氏GPLMからPDMの図面を直接表示したり、逆に、PDMからGPLMの帳票を参照することができます。さらに、GPLMからPDMに出図依頼情報が渡り、PDMからGPLMに出図実績情報が反映されます。また、GPLMに入力された顧客情報や生産地情報等を基幹システムのマスター作成に活用することで、システム間での二重入力を解消しています。
山内氏グローバル展開する上で、簡単に操作できることもポイントの一つでした。そのため、極力手入力の項目を減らし、プルダウンやセレクト形式を採用しています。また、グローバルでは、誰に連絡すればいいのか分からない場合があるので、メールボタンを随所に配置しています。メールボタン毎に送信先の部署が設定されており、さらに、その部署の誰に送信するかをマスターで管理しています。ユーザーはメールボタンを押して指示や依頼内容を記入するだけで済みます。
山内氏BI機能を活用することで、様々なプロジェクトで日々流れている多種多数の帳票の中からタスクの期限と実績日を抽出し、プロジェクト単位で集約して、スケジュール表を自動生成しています。これにより、グローバル全体でプロジェクトの進捗を見える化。部署・BU・客先等で絞り込むこともできます。管理職は主にこの画面を使い、必要に応じて個別帳票を参照します。また、担当者も、自分が所属する部署が関わっているプロジェクトの一覧を確認するといった利用が可能です。
田中氏効果としては、まず、グローバルでの状況の見える化と成果物の共有化があります。自動車メーカーがグローバルで情報を持っているのに、我々が情報を取れていないと、案件への対応スピードや価格面で乗り遅れてしまいますので。また、従来は各拠点でバラバラだった品目コードを統一したことで、どの設計部品番号をどの拠点で生産しているのかも把握できるようになりました。金型についても、どの設計部品番号の金型なのか、どの拠点の金型なのかが検索でき、金型移管や生産配置の効率化、無駄な金型投資の防止が図れます。
富樫氏受注率の改善も狙っています。拠点の中には、引き合いで止まっている案件や独自判断で見送りにしている案件があるかもしれません。しかし、その情報が共有できれば、日本や他拠点からフォローすることが可能です。また、他の拠点でも同様の引合いがあって、合わせて案件化すれば価格面で折り合いがつけられる場合もありえます。このように、グローバルで情報を共有することで、様々な受注につながると思っています。5%程度の受注率改善が期待できるのではないかと考えています。
本社 | 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岩井町51 |
---|---|
資本金 | 29億6,097万円(2014年3月31日 現在) |
売上高 | 333億円(単体)/547億円(連結)(2014年3月31日現在) |
従業員 | 530名(単体)2,919名(連結) |
事業内容 | 自動車産業および電気・通信機器向けの精密金属ばねの生産からスタートし、昭和40年代には合成樹脂を素材としたファスナ類の開発および製造を展開。現在は、全ての国内乗用車メーカやトラックメーカと取引し、自動車部品サプライヤとしてそれぞれの製品分野においてトップクラスのシェアを獲得している。海外にも早くから進出し、現在、8ヶ国に9拠点を展開。海外の自動車メーカとも広範な取引を行っている。更に近年は、自動車産業にとどまらず、医療関連分野、生活関連分野へと事業分野を拡大している。 |
取材日:2015年2月5日
受付時間 9:00-17:30(土・日・祝除く)
メールマガジン登録
「ダイキン 製造業向けITソリューションNEWS」
イベント情報やものづくりブログなどお客様に役立つ情報をお届けします。