コニカミノルタ株式会社
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コニカミノルタは、2015年にSpaceFinderを導入し、複合機・業務用プリンタ部門や生産部門をはじめ、グローバルで約3,500人が活用している。今回は、その中から、インクジェットプリントヘッドを扱うIJコンポーネント事業部での活用事例をご紹介する。印刷クオリティの高精細化や多様な工業用インクへの対応、より高い信頼性など、品質要求が高度化。その対応を効率化し、顧客満足度を高めていくために、SpaceFinderを活用した業務改革が進められている。
牧野氏SpaceFinderは元々、複合機(MFP)・印刷用機器等の品質保証部門の時に、業務の工数削減や品質情報一元化のツールとして導入し、その後、生産本部にも展開されています。様々な情報が分散し、情報を探したり見たい形につなぎ合わせるのに時間がかかっていたので、一元的に管理したいというのが導入のきっかけでした。その後、私と森が現在の部門へ異動になり、これまでの実績を踏まえて、工数削減に有効であることを説明したところ、「すぐにでもやりましょう」ということで話が進みました。
森氏当部門では、品質トラブルロス(補償費用、労務費)と不具合対応日数をKPIとして設定しています。年々厳しくなる目標をクリアしていくためには、人手がかかったり属人的になっていた働き方を改革し、生産性を向上しなければなりません。そのために、ITツールを活用した情報の見える化や統計的解析による傾向把握・原因分析を行う取り組みとして『Digital QA(Quality Assurance)』を展開。そのITツールとして、SpaceFinderを活用することになったのです。
森氏クレームは基本的に営業が受け付けて、『不具合受付票』を起票します。ヘッド情報やプリンタ情報、インク情報等は外部サーバと連携しており、顧客名とシリアルNo.を入力することで自動入力されます。そして、不具合の内容を入力し、データや写真等があれば添付。開始日・採番データは自動入力されます。入力が完了するとタスクが品質保証部に渡り、通知メールに記載されているURLをクリックして『不具合受付票』を参照。クレーム現品も確認して、『解析依頼表』を発行します。
森氏『解析依頼表』では、解析依頼と解析履歴と解析結果を一元管理。解析担当者は検査結果を入力し、各種データを添付します。責任分類や原因分類等を入力して完了すると、内容が『不具合受付票』に転記され、出荷後期間や使用期間等を元に補償費用が自動計算されます。『解析依頼表』は品証や開発に閲覧権限を限定し、詳細な情報を残しています。
森氏以前は情報が散在し、どれが最新かもわかりにくかったため、営業~品証間での受け渡しが対面でないとうまく行えませんでした。日程調整のために進捗が遅れてしまう要因にもなっていました。今はSpaceFinder上で情報共有できるので、対面の必要が無くなっています。また、レポート作成・承認プロセスを明確化し、雛形を自動作成する仕組みも構築。業務プロセスを明確化したことで、日数管理も細かく行えるようになりました。このような改善により、不具合対応日数を短縮することができました。
牧野氏是正措置が必要な案件については、異常連絡会を開催。帳票画面を見ながら情報を共有し、暫定対策や恒久対策を打ち合わせます。恒久対策が完了するまでに数ヶ月、数年かかる場合もありますが、容易に進捗を追いかけられ、履歴も確認できます。深刻度と影響範囲でランクを管理しており、重要な不具合については『知識再利用する』フラグを立てます。これにより、過去の重要不具合を抽出し、デザインレビューに活用しています。また、知識の構造化手法(SSM)で情報を整理し、開発にフィードバックすることで、不具合を未然防止する取り組みも始めています。
牧野氏散在するデータを集めたり、欲しい情報に加工するのが複雑で時間がかかっていた作業や、定常的なレポート作成を、BIを使って自動化しています。以前は集計・分析に1週間程かかっていたような情報が即座に取り出せるようになり、顧客対応もスピーディに行えるようになっています。計算ミスや転記ミスが無くなりましたし、特定の人しかわからないといった情報の属人化も解消しています。
森氏品質トラブルロスを様々な切り口で見える化し、年度目標に収まるトレンドに入っているかどうかを監視したり、次年度の計画を作成するのに活用しています。ヘッド種別毎に補償費用と労務費を集計したり、販社別に分析するなど、フルで数日かかっていた作業を自動化でき、工数削減効果は大きいです。また、日々入力されるデータを元にしているので、いつでも最新情報が取り出せ、情報の正確性も増しています。
牧野氏抜本的な品質改善を行うため、不具合の要因を掘り下げて、故障が多い箇所の強度を上げたり、問題が多いインクでの耐性を高める等の対策を実施します。それらの効果を判断するために、シリアル毎の不具合発生数と不具合要因の推移をグラフ化。対策を行ったシリアルNo.の前後で、その要因に起因する不具合の発生件数がどのように変化しているのかを把握し、対策の効果を判断しています。経年劣化で起きる不具合は、対策を打っても効果が現れるまでに一定期間が開いてしまいますが、その場合でも確実に追跡することができます。
森氏生産管理サーバからデータを読み込んで、工程毎の収率(良品数÷投入数)を週次で自動集計。全体および工程分類毎での年間目標、月次目標の達成状況を確認しています。工程名をクリックすると詳細なグラフが表示されるので、重点を絞り込んで対策を行います。対策実施後の改善状況も監視できます。新機種立ち上げでは、いろいろな対策を実施して、徐々に収率を改善していくのですが、より短期間で収率改善が行えるようになっています。
森氏生産/出荷データベースをSpaceFinderと連携させることで、不具合のトレーサビリティが向上しました。従来、複数の台帳を手作業で突き合わせて調べていたのですが、情報を一元化したことで解析工数も削減しています。これにより、不良率(不具合数÷生産数)の計算も自動化し、関係部門で共有。お客様と品質状況について話をする場合でも、データに基づいて客観的で正確なやりとりが行えます。さらに、いつ、どの辺のシリアルでどういう不具合が多いであるとか、この不具合が特定のシリアルNo.やロットで多いということがわかるようになります。また、不具合になった前後のシリアルNo.の製品を納入したお客様に稼働状況を確認するという使い方もできます。
本社 | 東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー |
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資本金 | 37,519百万円 |
従業員 | 単体 5,207名(2019年3月現在)連結 44,360名(2019年3月現在) |
事業内容 | 1873年の創業以来培ってきた、画像や色を核としたイメージング技術を活用して、情報機器や産業用光学システム、医療用画像診断システムなど、幅広い分野で事業を展開。全世界で約200万社に及ぶ顧客資産を活かし、ビジネス現場の課題解決に日々取り組んでいる。 (主な事業分野) 複合機の提供とともに個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を行うオフィス事業、デジタル印刷システムやデジタル捺染システムなどを扱うプロフェッショナルプリント事業に加え、ヘルスケア事業、産業用材料・機器事業などを展開。 |
取材日:2019年4月16日
受付時間 9:00-17:30(土・日・祝除く)
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