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中央研究所の情報基盤を再構築。技術資産の可視化と再利用性向上

ヤンマーホールディングス株式会社

旧社名:ヤンマー株式会社 本事例は取材時点の内容です。

ヤンマーホールディングス株式会社

グループウェアの撤廃に伴い、各種業務システムをSpaceFinderに移行。中央研究所では情報基盤を再構築し、プロジェクト開始から完了までの一連の情報を可視化。技術資産の再利用性を高め、研究の質向上を目指す。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

ヤンマーは、全社で利用してきたグループウェアの撤廃に伴い、2,400に及ぶデータベース(DB)のリプレースを実施。約1割を占めていた大規模な業務システムをSpaceFinderに移行した。ヤンマーグループ全事業の研究を担う中央研究所では、これを機に情報基盤を再構築。散在していた技術資産を集約し、研究プロジェクトの始まりから完了までの情報を一元管理することで、技術資産の検索性・再利用性を向上すると共に、進捗の見える化も実現。さらに、研究開発に関わる様々な業務もグループウェアからリプレースし、働き方改革を促進している。

背景

技術資産がバラバラに存在。再利用性が低く、研究自体の成果も紐解きにくかった

中村 哉 氏

研究開発マネジメント部
技術マネジメント部
改革推進グループ 課長
中村 哉 氏

中村氏研究プロジェクトの過程で、以前は頻繁に報告書が作成されていたのですが、近年は、2年間のプロジェクトであれば2年後の完了時に最終報告書しか出されなくなっていました。また、様々な技術資産が研究報告書に紐付かない状態でバラバラに存在していたため再利用性が低く、研究自体の成果も紐解きにくい状況で、技術資産の蓄積と活用の両面で課題を抱えていました。

当時は、グループウェア上に研究報告書や月報、議事録等がバラバラに存在し、プロジェクト予算と研究報告書(概要)は別システムで管理。開発部門から異動してきた中村氏は、「技術資産が再利用されないことにびっくりしました」と語る。

中村氏技術資産を活用することで、より高い地点から研究をスタートできますし、同じことの繰り返しや失敗を減らせます。しかし、ここでは皆がゼロベースで研究を始めていました。キャリア採用が増えている中で、新しく加わった研究員は、自分が持っている知見や経験をベースに、他のメンバーと融合していくだけで精一杯。このような状況を変えたい、研究プロジェクトの始まりから完了までの一連の情報を分かりやすく管理できるようにしたいと思っていました。

この問題意識は上層部やベテラン研究員とも一致。そこにグループウェア撤廃の動きが重なり、技術情報基盤の再構築に向けて動き出した。

ヤンマー株式会社 中央研究所 ヤンマーグループの研究開発の中核拠点。基盤技術研究部、パワートレイン研究部、研究企画部、バイオイノベーションセンター、品質解析センターで構成。事業部門からの委託テーマと自主テーマが約半々の比率。2000年に現地に移転。エンジンをイメージしたデザインや環境に配慮した施設が評価され、グッドデザイン賞を受賞した。

システム選定・構築

複雑な業務に適応できる。ユーザー部門が実用性の高いシステムに作り込んでいける

SpaceFinderは、ヤンマーグループ全体で2,000名以上、中央研究所では約550名が利用。主な選定理由は、複雑な業務への適応性、外部システム連携の容易さ、ユーザー部門でも構築・改修ができる操作性。実際に構築を担当された方々に感想をお聞きした。
澤 征宏 氏

ヤンマー情報システムサービス株式会社
システムサービス部
サービス運用・保守グループ
澤 征宏 氏

澤氏SpaceFinderはソースコードを一から作り込むよりも早く構築できますし、個人に依存する部分が少ないので、後々のメンテナンス性も高いと思います。実際の構築では、いろいろ試しながら作っていけましたし、サポートセンターへの問い合わせにもレスポンス良く回答してもらえたので、非常に助かりました。

辻 順一 氏

ヤンマー情報システムサービス株式会社
システムサービス部
サービス運用・保守グループ
辻 順一 氏

辻氏SpaceFinderで一番いいなと思ったのはビジュアルです。見た目の分かりやすさはユーザーに喜ばれます。また、打ち合わせで要望がでた時にも、その場で直して、「あ、こっちの方がいいね」という感じで対応できました。レビューの度に作り込みができて、最終的にいいものが作れるという良さがあると思います。

本庄 邦治 氏

ヤンマー情報システムサービス株式会社
システムサービス部
サービス運用・保守グループ
本庄 邦治 氏

本庄氏私はグループウェアの構築を担当し、SpaceFinderの経験は浅い方なのですが、直感的に作り込んでいけるところは非常にありがたかったです。

運用状況

研究プロジェクトの一連の流れに沿って全ての情報が管理・見える化される仕組み

2019年4月、研究情報管理システムCORMS(Continual YANMAR Research Management System:コームス)が稼動を開始。新規テーマを担当者が登録。2018年度から継続しているプロジェクトは事務局により登録されている。

情報基盤再構築イメージ

情報基盤再構築

中央研究所の技術資産を一元管理。
研究プロジェクトのすべての情報と履歴がわかる

中村氏研究にかかわる情報は『プロジェクト帳票』に集約され、これに予算計画や月次報告書、議事録等の帳票が連携。研究プロジェクトは、毎年12月頃に次年度予算を審議する『企画審査会』を開催し、年度始めに『基本計画検討会』、そして、『中間報告会』、期末に開催される『最終報告会』という4つのマイルストーンで運営され、それらの情報と議事録を登録していきます。進捗と課題は月次/四半期報告書で確認。出張報告書や打ち合わせ議事録等も随時登録していきます。最後に、プロジェクトの総費用や申請した特許、規格をまとめ、後継プロジェクトがあれば記載。このように、一通りの情報が詰まっているので、担当者でなくても容易に経緯を理解して再利用することができます。研究プロジェクトの一連の流れに沿って全ての情報が管理される仕組みは存在していなかったので、大きな進歩だと考えています。

月次/四半期報告では、当初設定した目標項目の達成状況と問題・課題、対策を管理。上長はコメントや指示内容・期限を記載してプロジェクトが進んでいく。

中村氏検索機能も充実。プロジェクト名称やプロジェクトNo.、報告書タイトル、年度・月度で簡単に検索できますし、より詳細な検索も可能です。これまでも、自分の研究テーマに関係する過去の報告書をふと目にした研究者は熱心に読み込んでいました。欲しい情報が存在していることがわかり、それらが見やすく意味を理解しやすい状態で整理されていれば、どんどん活用されていくことと思います。

シンプルな操作性で技術資産を活用、進捗を可視化

技術資産を活用

研究報告書

中村氏研究報告書を作成すると、登録申請書にタイトルやサマリー、プロジェクト情報等を記載し、報告書を添付して登録申請します。事務局が記載内容を確認し、報告書をPDF化して差し替え、オリジナルの報告書はサーバに格納。承認フローが完了すると、事務局が『研究報告書 概要』帳票を起票して、ヤンマーグループ内に公開します。研究報告書も読みたい場合は、『研究報告書 概要』帳票からボタンクリック一つで『研究報告書 詳細』帳票に遷移できます。ただし、そのアクセス権は基本的に中央研究所と、委託テーマの委託元に限定。その他の部門が研究報告書を読みたい場合は、事務局に申請してアクセス権を設定してもらいます。以前は事務局が報告書を印刷して送っていましたが、この作業は不要になり、情報共有のリードタイムも短縮しています。

部門間・拠点間の情報共有

中村氏研究プロジェクトにかかわる情報は、基本的に研究所内に留めているのですが、委託テーマについては個々に開示範囲を決めて委託元と共有します。また、他の研究所や事業部門からプロジェクトに参加しているメンバーに対しては必要な情報を共有する必要がありますし、逆に、テーマによっては、担当部署以外は非公開にする場合もあります。このような個別対応も、帳票上に読取/編集権限の設定機能を設けることで、柔軟に行えるようになっています。

拠点・部門をまたがったコラボレーションも支援。

中村氏事業部門や他の研究所のメンバーがプロジェクトに加わっている場合に、物理サーバが共有できない環境下で、進捗状況や課題の確認、作成した資料や試験データ等をお互いに共有して更新していくといったことが必要になります。そのような場合は、『プロジェクトファイル共有』帳票を活用します。研究過程でやりとりされた様々な情報が集約されるので、後で振り返った時に、報告書や議事録に現れない情報までわかるようになります。実際に海外の研究拠点でも活用されています。

進捗の見える化

中村氏月次/四半期報告書を検索すると、進捗状況に応じて色分け(緑:予定通り、黄・赤:遅延)された全プロジェクトの一覧が表示されるので即座に全体の進捗がわかり、そこからワンクリックで報告書帳票を開いて詳細を確認することができます。以前は、進捗をまとめる担当者が、各プロジェクトの管理者に進捗報告の提出をメールで催促して、集まったファイルを一覧表にまとめ、そこから各プロジェクトの状況を記載したシートにリンクを貼っていました。この作業にはとても手間がかかっていたのですが、今では不要になっています。

グループウェア移行の経緯とSpaceFinderの位置付け

基幹系でカバーできない業務にSpaceFinderを活用し、業務改善ツールとして活用していきたい

次に、ヤンマー本社に場所を移し、グループウェア移行の経緯についてお聞きした。
松本 英徳 氏

ビジネスシステム部
IT革新推進部
コミュニケーション強化グループ
課長
松本 英徳 氏

松本氏ヤンマーグループでは2014年より働き方改革を推進しており、その柱の一つとして『グローバル共通のコミュニケーション&情報共有・基盤の展開』を掲げています。これまでは、それぞれの事業が部門最適を求めた結果、いろいろなポータルサイトができてしまったり、グループ会社間で情報を伝達・共有する術が無い、どこに欲しい情報があるのか分からないという状況になっていました。特に大きな問題になっていたのが、既存のグループウェアでは海外現地法人との情報共有ができないということでした。そこで、新たなグループウェア導入によるグローバルな情報共有環境を整備することになったのです。

このような背景でグループウェア上の情報・アプリ移行プロジェクトが立ち上がり、2016年度から2018年度末までの3年間で旧グループウェアを撤廃するスケジュールで活動を開始した。

松本氏まず、グループウェア上に作られていた約4,000のDBの中から、ユーザーアンケートをもとに、移行対象を約2,400に絞り込みました。コラボレーションツールやワークフローツールなど、移行先ツールも選定。そして、移行方法を3パターン(①ユーザーによる移行、②簡易移行、③システム開発)に分類し、活用方法を調査した上で、15種類のテンプレートを準備。移行サンプルを公開すると共に、1DBずつユーザーのヒアリングを行って、最適な移行パターンの選定と業務標準化、移行効率化を図りました。その中で、システム開発が必要な場合の移行先としてSpaceFinderを選定。例えば、中央研究所のCORMSや購買・試作要求システム、事業部門で展開している工事指示書等です。SpaceFinderを選定した理由は、大規模で難易度が高い業務に対応でき、基幹システムとも連携しやすいことでした。当時比較した他のシステムはその辺が弱く、できたとしてもかなり高額で、難易度が高くなりました。もう一つの大きなポイントは、ユーザー部門が構築・改修できること。以前のグループウェアではそれができていましたし、今後も必要なのですが、他のツールではそれが難しかったのです。その点、SpaceFinderはGUIベースで、非常にやりやすく、そこが大きな決め手になりました。

松本氏まず、グループウェア上に作られていた約4,000のDBの中から、ユーザーアンケートをもとに、移行対象を約2,400に絞り込みました。コラボレーションツールやワークフローツールなど、移行先ツールも選定。そして、移行方法を3パターン(①ユーザーによる移行、②簡易移行、③システム開発)に分類し、活用方法を調査した上で、15種類のテンプレートを準備。移行サンプルを公開すると共に、1DBずつユーザーのヒアリングを行って、最適な移行パターンの選定と業務標準化、移行効率化を図りました。その中で、システム開発が必要な場合の移行先としてSpaceFinderを選定。例えば、中央研究所のCORMSや購買・試作要求システム、事業部門で展開している工事指示書等です。SpaceFinderを選定した理由は、大規模で難易度が高い業務に対応でき、基幹システムとも連携しやすいことでした。当時比較した他のシステムはその辺が弱く、できたとしてもかなり高額で、難易度が高くなりました。もう一つの大きなポイントは、ユーザー部門が構築・改修できること。以前のグループウェアではそれができていましたし、今後も必要なのですが、他のツールではそれが難しかったのです。その点、SpaceFinderはGUIベースで、非常にやりやすく、そこが大きな決め手になりました。

お客さまプロフィール
ヤンマーホールディングス株式会社
本社 大阪府大阪市北区茶屋町1-32
事業内容 ヤンマーグループ 7つの事業
  • 創業の原点を受け継ぐ『小形エンジン事業』
  • 高品質で高い信頼性を誇る『大形エンジン事業』
  • 海洋環境との共生を目指す『マリン事業』
  • 日本とアジアを中心にグローバルに農作業を応援する『アグリ事業』
  • 省エネルギー技術の多様な展開に取り組む『エネルギーシステム事業』
  • 多用途の建設機械を提供する『建機事業』
  • オリジナリティの高い製品を開発する『コンポーネント事業』
  • ヤンマーホールディングス株式会社 本社

    本社

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