精電舎電子工業株式会社
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品質問題の兆候は、日々の修理・クレーム対応の中に埋もれている。その兆候を素早く察知して対策を打つことができれば、不具合を最小限に抑えることができる。今回ご紹介する精電舎電子工業(以下、精電舎)は、このような仕組みをSpaceFinderで構築し、効果を発揮。さらに、過去の対応履歴や類似事例を自在に検索でき、『修理対応の情報武装』も実現。製品の高度化や顧客の品質要求レベルへの対応がスムーズになり、ノウハウの共有化も促進されている。
福島氏日々の修理対応の裏には製品的な欠陥が潜んでいる場合がありますが、それを見落とすと不具合が拡大してしまう危険があります。修理案件を俯瞰して傾向を見ることができればその兆候を察知できるのですが、以前は属人的に処理されていたために状況の共有が困難で、対策が後手に回ってしまう場合がありました。
福島氏プラスチックの溶着溶断には、超音波や高周波、レーザなど、様々な加工方法があり、加工する製品の形状や材質もお客様毎に異なりますので、同じ不具合でも違う症状が現れる場合があります。また、お客様の治具がわずかにずれただけで溶着しなくなる場合もあります。そのため、修理担当者は加工内容や装置の使われ方をきちんと理解しておく必要があります。また、溶着後の仕上がり寸法について高い精度を要求される用途の増加や、強度・耐熱性が高い新素材への対応など、修理で必要な技術レベルも高度化しています。そのため、過去の対応履歴や類似事例のデータを活用できる体制がますます必要になっているのですが、従来は属人的に仕事が進められる傾向があり、この人しかわからない、という部分が多々残っていたのです。
福島氏これらの課題解決を図るべく、『修理の無償対応コスト削減』をテーマとしてシステム導入を具申。開発段階での品質改善も視野に入れて、システムを導入することが決まりました。当初は文書管理システムを検討しましたが、その過程で、ワークフローや電子帳票も備えたシステムが無いものかと考えるようになりました。そんな時に、SpaceFinderのセミナーに出席したのですが、電子帳票・ワークフロー・DBがここまで一体となって使えるシステムは他に無く、当社の課題となっている部分が、これ1つでかなり解決できると思いました。
莇氏システム構築に先立って関係部門にヒアリングを行い、業務フローを整理したのですが、パイロット版をテストしたところ、データがうまく流れませんでした。部門内ではうまく回っていても、部門間のつながりがうまくいかなかったり、職務分掌と業務フローが合っていないことが原因でした。そこで、まず「あるべき姿」の業務フローを考えてシステムを試作し、各部門の意見をもらって改善することを繰り返し行いました。
莇氏修理依頼を受けると、営業部門が『修理・クレーム対応票』を起票します。不具合の症状や部位、頻度、使用状況等を必須項目とすることで、営業から修理部門に必要な情報が確実に渡るようになりました。症状種別等は集計分析に活用できるように、今回、体系化しました。
莇氏お客様の生産ラインを止めるわけにはいきませんので、修理に行く以上は必ず直さなければなりません。そのため、修理担当者は、情報に見合ったありとあらゆる工具や部品を車に積んで行くので、事前の情報は非常に欲しいのです。以前は紙ベースで検索が難しかったのですが、今はお客様の修理履歴を調べたり、同様の事例を検索し、対応方法を事前に検討できるようになっています。
福島氏修理担当者は、症状や部位、頻度を組み合わせて調べているようです。また、過去の対応履歴を調べて、以前と同じ箇所が壊れた場合は、前回と違う対応が必要ではないかといったチェックが行えるようになりました。営業からの修理依頼でも、情報が正確になり、修理の初動は早くなっています。今後、データが蓄積することで、「どの製品のどこが壊れると、こういう症状が出る」といったことがわかってくると思います。それらを抽出して、修理マニュアルを作成したいと考えています。
福島氏品質保証推進グループでは、『修理・クレーム対応票』の一覧を常時チェックしています。通常、故障の原因や壊れた部位はバラつくはずですが、同じケースが2~3まとまって発生すると大きなクレームの可能性があるので、開発部門に問題の部品を調べてもらうといった対応を行っています。また、出荷場所・故障原因・部品をキーにして見たときに、特定の地域で故障が発生している場合があります。海外では電源電圧が高い地域があるので、お客様に稼働環境のチェックを依頼するような動きをしています。
福島氏当社の製品は小型・中型・大型とあるのですが、ある小型機で発生した不具合は、同じ部品を使用している中型機でも起きる可能性があると推測できますので、その情報をチェックしていきます。逆に、同じ故障が小型機と中型機で同時期に発生していたので、関連性がないか調査を依頼する場合もあります。このように、不具合の予防的な動きが早く行えるようになっています。修理の無償対応コストも、RCMSの運用開始以降、順調に減っています。
福島氏近年、大手のお客様を中心に、ISOに沿った修理対応履歴の管理や、社内での横の情報共有が求められるようになっています。例えば、溶着時に加える力の強さや時間等のパラメータを変更する場合でも、その根拠となるデータや検査結果を提示するなど、厳密な管理が要求されます。そういった情報も統合的にSpaceFinderで管理することで、トレーサビリティを向上し、ノウハウの共有化も進めていきたいと考えています。
本社 | 東京都荒川区西日暮里2丁目2番17号 |
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資本金 | 88,625,000円 |
従業員 | 150名 |
事業内容 | プラスチックの溶着溶断装置と応用加工技術を総合的に提供。世界で初めて超音波による溶着装置を発表するなど、常に顧客ニーズに適合した製品を市場投入。日本国内で最大の生産能力と、最高の出荷台数・実働台数を誇り、海外においても、アジア全域をはじめ世界各国に輸出。精電舎ブランドとして高い評価を得ている。 |
取材日:2014年5月7日
受付時間 9:00-17:30(土・日・祝除く)
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