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部門間連係強化による利益率改善・手戻り防止への取り組み

三相電機株式会社

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すべての開発案件で、顧客要求仕様や目標価格/ 予定台数/ 目標原価を漏れなく明確化し、部門間で共有。SpaceFinder 導入後、新機種の利益率が改善。要求仕様と設計仕様のズレや設計・量産準備での工程抜け漏れが無くなり、手戻りも削減。

以下は一部抜粋です。記事全文と運用イメージはこちら!

今回は、各部門から計9名の方に出席いただき、非常にチームワークの良い雰囲気での取材となった。しかし、SpaceFinder導入前の課題は、意外にも部門間の連携不足。お話を伺う中で、部門をまたがる業務での「次工程への情報伝達とけじめ」「スピーディな情報共有化」「情報蓄積・分析」を支援する仕組みの必要性が見えてきた。

導入前の問題点

部門間の情報連係不足が、仕様のズレに起因する手戻り・不具合や利益率低下の要因に

個別受注品が売上の約9割を占める三相電機では、年間約500件もの開発案件が発生。近年の多品種小ロット化や多業種での顧客開拓による案件数の大幅な増化に、部門間での情報共有が追いついていなかった。
藤原 範和 氏

品質保証部 副部長
藤原 範和 氏

藤原氏例えば、目標価格や予定台数、目標原価を、営業・技術・購買部門間で十分に共有できていなかったために利益率が低下したり、要求仕様が明確に伝達されなかったために手戻りが発生するというように、部門間での情報連携不足に起因する問題が顕在化していました。また、ほとんどが類似設計なのに過去データが再利用できない、案件数が多い中で進捗が見えず遅延が発生する、といった課題もありました。

従来は案件管理をグループウェアで実施。しかし、それは「単なる連絡書」になっていたという。
橋本 真二 氏

統括管理部
情報システム課 課長
橋本 真二 氏

橋本氏以前使用していたグループウェアは言語が特殊な上、将来性も懸念されました。そのため、開発案件の連絡票は作成したものの、顧客要求仕様の伝達は紙のままでしたし、案件情報と成果物を関連付けて管理したり、進捗を見える化するといった、初期構築後のシステム改善に積極的には動きにくい状況だったのです。

三相電機は、国内唯一のモータ/ポンプ一括メーカーならではの強みを活かし、顧客要求への対応スピードと提案力、そして製品品質の向上を追求。ブランド力を強化し、収益性を高めていく方針だ。2010年、その情報基盤構築に向けて検討を開始し、2011年3月にSpaceFinderが導入された。

開発案件管理・設計~生産準備業務での活用状況と効果

部門間連携強化により、利益率改善や開発手戻り削減、量産移行率改善など幅広い効果

まずSpaceFinderが適用されたのは、懸案となっていた開発案件管理。営業が引合いを獲得すると、『営業案件管理』・『要求仕様』を起票。営業部長の決裁を経て技術部に業務が流れる。
長野 浩忠 氏

技術部 副部長
長野 浩忠 氏

長野氏今回の改善点の一つが『要求仕様』電子帳票の新設。案件スタート時に営業がお客様と詰めるべき技術仕様項目を明確化し、重要な項目の入力を必須化することで、要求仕様が曖昧なまま開発に着手することに歯止めをかけています。これにより、要求仕様の確認に手間がかかったり、その手間を省略したために手戻りや不具合になったり、見積もり精度が落ちて利益率が低下するといった問題を防止。さらに、お客様の要求仕様にプラスして、一歩踏み込んだ仕様の提案も可能になりました。

見積もり依頼時に、要求仕様が「埋まっているか、いないかは大きな差」と語る長野氏。見積もり精度は格段に向上している。また、当初は、営業がここまでやるのかという意見もあったが、この運用を定着させることで、営業のレベルアップにもつながっているという。

新機種の利益率が改善

『要求仕様』電子帳票には、目標価格/予定台数/目標原価等も記入。その情報共有も、従来の課題だった。
小畑 直人 氏

技術部 副部長
小畑 直人 氏

小畑氏以前は、目標価格を書かずに見積もり依頼が来たり、1万台のロットと10台のロットを同じ価格で販売したこともありました。少品種・多ロットの時代は、それでも大きな問題にはならなかったのですが、多品種・小ロットの時代になり、小ロット品において部品価格がUP→赤字化していたものが、目標価格/予定台数/目標原価を明確化・共有化したことで、このような案件の見積精度が向上し、SpaceFinder運用開始以降、新機種の利益率が改善しました。

今川 優 氏

技術部 開発課 課長
今川 優 氏

今川氏設計の見積もりよりも大幅に高い価格で部品を仕入れるというように、購買部門との情報共有不足で利益率が低下することもありました。今は、技術部が設定した価格に沿って購買部門が交渉を行い、価格が合わない場合は理由を明らかにして技術部に返ってくるというように連携がとれるようになりました。

工程の抜け漏れ防止で手戻りを削減

価格情報は『設計管理帳票(右頁③)』に引き継がれ、『要求仕様』とも連携することで、確実に情報を伝達。さらに、『設計進捗管理票(右頁④)』では、設計工程と期日、成果物を明確化し共有。各工程は承認ルートを経て完了する。

今川氏工程毎に上長の承認を得ることで、作業の抜けがなくなり、手戻りが減りました。進捗も随時追えるようになり、期限遵守率が向上しています。以前は、担当者自身も期限管理をここまで目に見える状態で行えていなかったと思いますし、SpaceFinderを活用することでスケジュールが組みやすくなりました。さらに、設計データをSpaceFinderに蓄積していくことで、ファイル探しの時間が短縮。以前は同じような仕様の案件でも、過去のデータが見つからないために設計をやり直していましたので、設計スピードの向上に効果があります。

藤原氏同じような特性の案件でも、過去のデータを参考にしないで担当者が別々に設計するために、本来は同じでも良いのに微妙に仕様が異なるケースが多々ありました。これでは非常に効率が悪いですので、過去のデータを活用して、共通化を図っていきたいと考えています。

情報共有化で量産移行もスムーズに

続いて、『製造打ち合わせ(右頁⑤)』と呼ばれる生産準備の工程管理にもSpaceFinderを適用。量産に関わるすべての部門でデータとスケジュールの共有・進捗確認が可能になり、量産移行がスムーズになった。SpaceFinderを基盤とした部門間連携強化が全社規模で加速している。

クレーム管理での活用と効果

営業から品質保証部への情報伝達が正確になり、対応リードタイムが短縮。品質会議の質も向上

続いて、2013年2月には、クレーム管理での運用を開始。狙いは、対応リードタイムの短縮と、設計へのフィードバックによる品質改善だ。従来、紙で運用されていた『クレーム報告書』を電子帳票化し、受付から原因調査、対策、報告までを、営業~品質保証部間のワークフローで運用している。
坂本 邦夫 氏

品質保証部 品質保証課 課長
坂本 邦夫 氏

坂本氏使用期間や使用温度、周囲温度等は、原因調査を行う上で重要な情報なのですが、従来は営業の記載漏れが頻発し、時間をかけて調査した後になってから情報がわかるというような非効率の原因になっていました。そこで、『クレーム報告書』では、営業が記載する項目を明確化し、重要項目は入力を必須化しました。

情報精度の向上と対応進捗の見える化、そして、アラートメールの活用で、回答期限の遵守率が向上。受付後3日以内での調査完了を実現している。さらに、品質情報の一元管理・共有化による効果も大きい。

藤原氏以前は担当者同士で動いていて上層部に情報が届かなかったこともありましたが、そういったことは今は一切ありません。

長野氏クレーム情報は同時に技術部にも通知されますので、即座に対応が必要な場合は技術部も自ら加わって動けます。同じ機種で同様の不具合が続くと設計改良が必要な場合も考えられますので、情報を共有化することで、そういったアクションも起こしやすくなりましたね。

営業担当者にとっても、自分が受付けたクレームの対応状況を見ることができ、さらに他のクレーム情報も共有化できるので好評だ。

坂本氏品質会議も変わりました。以前はクレームのリストを眺めて意見を出していたのですが、広い一覧表の中から大事なことってなかなか見つからないですよね。表現も単語レベルに要約されていますし。今は、品質保証部が問題提起するかたちで、期間と機種を絞り、問題とする不具合を抽出した上で、営業・技術部・品質保証部で具体的に議論ができるようになりました。その資料作成もスムーズに行えます。

「実際に改善に向けた意見が出ている。良い方向に向かっている」と藤原氏は手ごたえを感じている。

橋本氏今後、設計不良や組立不良、購入品不良等を含めた、全社でのトータルな返品率低減への取組みを開始していく予定。既に、返品の台数や内容をざっくり把握するといった動きを始めています。SpaceFinderにより、品質情報を一元管理・集計できる環境を構築でき、返却率の分析や振り返り、今後のテーマ設定に活用することができるようになりました。

お客さまプロフィール
三相電機株式会社
本社 兵庫県姫路市青山北一丁目1番1号
資本金 871,600千円
従業員 573名(連結)
事業内容 「良い品を早く安く安全に心をこめて」「まず素直 ことは愚直に誠実に」を基本方針に、各種モータ/ポンプ、モータ応用製品/部品の開発製造を行っている。国内で唯一のモータ/ポンプ一括メーカーとして、品質・納期の両面で幅広い顧客から支持を獲得。顧客数は2000社を超えている。
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