日本パルスモーター株式会社
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日本パルスモーターは、事業の新たな柱とすべく、自動車分野への展開を開始。これを機に、IATF16949に準拠した開発プロセス改革を推進している。同社は、電機/機械、アミューズメント、半導体等、幅広い分野で事業展開しているが、品質要求が最も厳しい自動車分野を社内標準とすることで、全社的な品質管理レベルの底上げを図る狙いだ。今回の事例では、同社における開発プロセス改革と、その情報基盤となっているSpaceFinderの活用状況をご紹介する。
取締役 モーションコントロール事業本部長
平山 良裕 氏
平山氏当社は2000年にISO9001認証を取得し開発業務に適用していたのですが、運用の徹底という点で課題がありました。また、「せっかく蓄積した資料を有効活用したい」、「開発がどこまで進んでいるのか、他部門から見えにくい」という声も強くなっていました。
平山氏問題解決のためには、開発ステップに沿って必要な成果物を確実に作成し、すべて完了してから次工程に移行するといった開発プロセス管理が必要だと考えました。そこで、2013年9月にSpaceFinderを導入し、開発プロセスの進捗管理とDR管理、成果物管理に適用したのです。文書管理システムや帳票管理システムも検討したのですが、SpaceFinderは我々が考えていた仕組みを実現でき、しかも、費用負担なく自分たちで改修できる点が大きな魅力でした。
平山氏近年、お客様の分野を問わず、品質管理への要求レベルが高くなっています。そこで、最も厳しい自動車分野で求められるTS対応を社内標準とすることで、品質管理レベルの全般的な底上げを図ることになったのです。また、ISO9001とTSのダブルスタンダードになることを避ける狙いもありました。そこで、部門横断のTS推進プロジェクトを立ち上げ、業務の見直しに着手。部門毎に異なっていた開発プロセスを共通化し、TSに準拠するプロセスに合わせこんでいきました。各部門には、これまでのやり方に対するこだわりがありましたので、理屈では納得しても『意識の統一』までもっていくには、それなりに時間がかかりました。
モーションコントロール事業本部
第二システム部
佐久間 謙輔 氏
佐久間氏氏本社、テクノセンター、岩木工場の3拠点で、経営層と設計、製造、営業、品証部門の80名がSpaceFinderを利用。TS対応により、利用部門が拡大しています。帳票作成や改修は私1名が兼務で担当しています。新規の案件は『開発案件管理シート』を起票し、企画動機や収益モデル、自社の強み・ノウハウ、想定される問題・リスク、経費予測、収益計画等を記載して開発申請を行います。
平山氏開発案件は、①自動車産業向け製品、②一般開発製品、③当社ブランドで販売する外製品という3つのグレードに分類。すべての案件で共通した開発プロセスを適用しつつ、グレードに応じて管理レベルを切り替えています。開発申請が承認されると、管理責任者および営業、開発、製造、品証のメンバーから成るAPQPチームを編成し、承認フローを回します。
佐久間氏氏DRで指摘された課題と対策、期限管理を『Problem History Chart(PHC)』で行っています。課題数、完了数、未了数、期日超過数、完了率が自動集計され、期日を超過するとアラートメールが管理責任者に配信されます。設計変更にはフラグを立て、設計が順調に進んでいる目安として変更回数を確認できるようにしています。
平山氏PHCは、類似開発の際に、過去の開発経緯や技術課題と対策を確認することにも活用できます。DRの指摘事項以外に、開発過程での試行錯誤や決断したことなども書き込んでもらうことで、前任者の悩みや失敗、気づきも共有できるようにしています。今後は、類似開発でのDRのインプット情報としてPHCを活用することも考えています。
平山氏開発の滞留状況や成果物の内容が、簡単に目視で確認できるようになりました。実際に、「この開発は何故こうなっているのか?」、「承認依頼が来ているこの案件は、自分がイメージした内容と違う」というような意見が社長や役員会から出てきています。また、「この検証結果は本当にこれでいいのか?」というような問い合わせが、DRを開催する前に入るようになっています。
平山氏『開発案件管理シート』には、工数や治具製作費等の費目別の経費予測を記載しています。一方、重要案件については、経費と工数の実績値を基幹システムから週次で出力し、消化率を算出。これをSpaceFinderで管理している開発進捗とつき合わせて進捗グラフを作成しています。開発は進んでいないのに工数や経費の消化率が進んでいる場合は、何か課題があるはず。この情報を部長職以上で共有化し、状況把握や対策を行っています。ほぼリアルタイムで開発の動きが見えるようになり、アクションが早く出てくるようになりました。
平山氏例えば、試作を行う場合、部材や部品手配の待ち時間が必ず生じます。その間の行動計画が立てられているかチェックすることもポイントの一つ。他の案件を進めるとか、同じ案件の中で別の設計を行うなどですね。また、進捗が遅れている場合、その原因を早く把握することです。人手が足りないのであれば部門内で調整を行う。技術的な壁が担当者やその部署で解決できないのであれば、他部署からメンバー集めて対策を打たなければなりません。
佐久間氏ISOで求められている教育訓練計画と実施状況、実施結果の管理を効果的に行うために、『教育訓練管理シート』を新たに作成しました。当社では個人毎にスキルマップを作成しており、その中から半期毎に実施する項目と期限をこのシートに登録します。その後、実施結果や報告書等のアウトプットを登録し、上長が目標レベルに到達したかどうかを判定して承認するという流れです。
本社 | 東京都文京区本郷2-16-13 |
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資本金 | 1億円 |
従業員 | 193名 |
事業内容 | 1952年の設立以来、「動かす」そして「制御する」ことをテーマに、様々な産業分野に高品質な製品を提供。流体制御や医療技術、産業機械や半導体、アミューズメント、防衛/宇宙等の、高精度が求められる最先端分野に事業を展開。各種モータと制御系システムを組み合わせた多彩なモーションコントロールを実現し、顧客の多様なニーズにワンストップで対応している。 |
テクノセンター
取材日:2017年2月2日
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