堅田電機株式会社
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EMSにとって品質は命。特に開発の上流工程から請け負う場合は、クレーム対応コストが膨大になる上に顧客のブランドまでも傷つけてしまい、ダメージは大きい。堅田電機は、このようなリスクに対し、DR日程遵守率や設計チェックリストの運用率、設計プロセスでの不具合累計等の監視を強化することで、クレームの未然防止を図っている。今回の事例では、それらの取り組みの中から、SpaceFinderを活用したDR日程遵守率改善にフォーカスしてご紹介する。
藤本氏当社では、年間で約300案件が発生。それらの開発工程は機種リーダーの決裁で進行していくために上位職のチェックが入りにくく、グループによってはDRが抜け漏れたり、決められた期限に行われない状況にありました。ある時点でQMSを見直してDRを増やしたのですが、「今やらなければならないのか?量産前にDRが終わればいいや」という風潮が感じられていました。
藤本氏起きていないから現状維持で良し、とするのではなく、危険を孕んでいるので打破しなければならないと、ずっと考えていました。しかし、このような思いは、あるポジションに立たないと身につきません。ですので、担当者がシステムに沿って仕事をすれば勝手に品質が保たれる仕組みを構築したいと考えたのです。
山下氏当社は製造性の高い開発・設計を強みにしていますので、ハード・ソフト・メカ等の技術グループ間での密接な連携がキーになります。しかし、以前はファイルが個人管理になっていたり、他グループのデータが参照しにくい状態。さらに、あるグループの手戻りが他グループに伝わっていないために案件全体が遅れるといったこともよくありました。システム導入には、このような課題解決も期待しました。
橋本氏案件を受注すると、『開発ステップ管理シート』を起票します。機種開発はソフトやハードなど複数のテーマで構成されますが、各テーマの完了・直前・当日・遅延というステータスが色分け表示され、順調に進んでいるのか、どこで遅延しているのかといった状況がひと目でわかります。
藤本氏案件全体の進捗を俯瞰したい場合は進捗一覧画面を参照します。『量産が近いプロジェクト』、『最近起票されたプロジェクト』といった分類が設けてあり、それらの案件状況をワンクリックで参照できます。
藤本氏DRの期限が過ぎている、試作納期が近づいてきた、量産が近い、といった場合には、SpaceFinderから自動的にメールが配信されます。その中からフォローが必要と思われるテーマを抽出して直接状況を確認しています。
山下氏『開発ステップ管理シート』からのアラートメールは機種リーダーとグループリーダーにも配信されるので、リーダー間で状況を共有できます。例えばメカ開発が遅れていて他のグループに影響がある場合には、機種リーダーが打ち合わせを開催する、というようにコミュニケーションが図れています。
藤本氏管理者からすると、いかにQMSの手順通りに業務を進めさせられるか、というのが重要なポイント。『計画・実績表』は、どういう時にどのDRを行うかというQMSのマニュアルが電子帳票にわかりやすく置き換わったイメージです。この電子帳票に沿って業務を進めることで、品質マニュアルを見なくてもQMSを遵守して仕事を行うことができます。
白井氏1日の作業は、まずSpaceFinderでマイタスクを確認して始まります。1人で何案件も掛け持ちしていますが、アラートメールが配信されるので期限管理の苦労が少なくなりました。また、成果物は自動でバージョン管理されますので、確実に最新のデータを参照できますし、検索機能もあるのでデータ探しがたいへん楽になりました。今、SpaceFinderがあるのが普通になっているので、もしも無かったらと考えると、いろいろ大変だったと思います。
谷田氏DR指摘事項の潰しこみ状況を『レビュー記録票』で見ています。SpaceFinderは、帳票の任意の項目を別の帳票から参照させることが柔軟にできますので、DRの前に過去の指摘事項を参照するといった使い方にも活用できると思います。
藤本氏毎週月曜に開催している進捗会議の中で、前週に発生した不具合やクレームについても報告しています。それらは、SpaceFinderで『不具合対策書』を作成し、対策の進捗を管理します。市場クレームを未然に防ぐために、開発・試作プロセスで起こった不具合は小さなものでもピックアップして再発防止します。『不具合対策書』に記載された情報をチェックリストに反映したり、手順書の作成に活用しています。
藤本氏DR期限遵守率は、SpaceFinderを導入する前は50%ぐらいのイメージでしたが、最近では90%台で推移しています。期限を守れなかった場合でも翌週には完了。開発ステップ管理が浸透し、アラートメールも皆が意識してきています。
藤本氏DR期限遵守を含むトータルな施策の結果、技術部内・外を含む社内で指摘された品質クレームが、2011年度は18件に、そして2012年度は目標を大幅に下回る5件にまで低減しました。ただし、『潜在的なクレーム』である開発プロセス内での不具合はまだあるので、これを減らさなければ顧客流出クレームの抜本的な防止にはなりません。そこで、今期は開発プロセス内での不具合について17%削減の目標を設定し、月次にブレークダウンして取り組んでいます。そのためにも、DR期限遵守率をよりいっそう高めると共に、不具合対策の進捗をSpaceFinderで監視し、チェックリストを毎月見直すように取り組みを行っています。
本社 | 滋賀県大津市真野6丁目2-6 |
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資本金 | 4,500万円 |
従業員 | 209名 |
事業内容 | 電気・電子機器メーカー。開発の企画から設計、検査装置設計、製造まで、どのステージからでも一貫して受託できる対応力と小回りの良さ、スピードに優れ、近年成長を続けている。設計や部品の見直しによるコスト削減など、顧客への積極的な提案力も強み。さらに、海外にも開発・製造拠点(タイ・中国)を展開し、顧客の最寄り地域での生産に対応している。 |
取材日:2013年8月7日
受付時間 9:00-17:30(土・日・祝除く)
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